『語りかける中学数学 問題集』のはなし

語りかける中学数学 問題集

語りかける中学数学 問題集


数学勉強中の私が、大変お世話になっている問題集『語りかける中学数学 問題集』の話をしたい。
まず強調しておきたいのは、私自身本当にこの問題集には助けられている。丁寧な解説と豊富な問題量で、「これさえやれば大丈夫」という強い信頼感を感じている。総じて、とてもよい中学数学の問題集だということができる。

しかし、愛着があり使い込んでいるからこそ、不満も多くある。関係者は誰も見ないだろうが、祈りが届くことを期待して、私が感じる本書の不満点を列挙したい。

くりかえすが、本書は良書である。「それでもなお」、感じる不満点をあげる。

1. 開きにくい

厚さ5.2㎝である。


なかほどのページを開く分には問題ないが、最初や最後の方のページを開くのはなかなか難しい。書見台も通用しない厚さである。もっとも、これだけの問題数と解説の量ならば、この厚さは納得なのであるが・・・。

たらいまわされ感

本書は見開き左ページに問題、右ページに解答または解説、アプローチという構成をとっている。だが、問題によって解答が右ページにあったり、章末にあったりまちまちだ。また、「解答は章末」とありページをめくると元のページにある「アプローチ参照」となったりで、ぶ厚い本書をペラペラめくらなければならない場面が結構あり、ストレスがたまる。

「ぶぅ?」じゃねえよ

本書を読むと、高卒認定試験受験予定者、再勉強する大人も想定読者なのは明らか(むしろ中学生読者はそれほど想定してないのでは)なのだが、その割にうざったい「声」が多い。例えば、

もぉ?・・・、ぶ-!ぶ-!ぶ-!の気分だぶー!涙(p. 246)


など、ブー太郎かよ!


といいたくなるコメントがいたるところにある。(筆者は親しみやすくするために書いているのだろうが)「馬鹿にしてんの?あ?」とさすがに感じてしまう。

たまに問題文に登場するキャラクターの名前も「タヌポン」と「ぽん太」など、もうちょっとなんとかならなかったのか、といわざるを得ない(あと、タヌポンとぽん太は紛らわしすぎ)。

参照ができない

たとえば、二次関数の「変化の割合」を解説しているページを読んでいて、「あれ、一次関数の変化の割合」とどう違ってどう同じなんだろうか?」という疑問を持ったとしても、そこに参照ページが書かれているわけではない。厚さ5.2㎝のなかから自力で探し出さなければならないのだ。
せっかく中学数学のすべてを網羅している(と言っている)のだから、その網羅性を生かすためにも参照記号をつけるべきだった。


索引がない

上の「参照ができない」とともに、この点が本書の致命的欠陥であると考える。
中学数学において大事な問題がすべて入っている(と帯に書いてある)のであれば、中学数学の大事な問題を必要に応じて検索できるようにするべきだった。そうすることによって一列に並べられた問題群に幅というか厚みというものが生まれてくる。
たとえば本書を最初から最後までやり終えた後、「どうも自分は円に関する証明問題が弱い。重点的に復習したい」と思ったとしても、本書では厚さ5.2㎝(しつこい)のなかから円に関するセクションを探し、そのなかからさらに証明問題を選んで解くしかない。これがたとえば索引として「円の証明問題 p. ○○、p. ○×、p. ×△・・・」とまとめられていれば、学習者は通読するという方法以外の、本書の使い方を見いだすことができる。そしてそれは学習効果を大きく高めるのではないか。

私の好きな英語学習参考書に伊藤和夫氏の英文解釈教室 改訂版があるが、この参考書には膨大な参照記号および詳細なIndexがついている。伊藤氏は「参考書による学習効果を補完し総括するものとして、充実したIndexが欠かせない」(上掲書別冊 p. 36)とし、Indexを使って参考書を縦横に読むことを薦めている。伊藤氏のマニアックすぎともとれるIndexまでいかずとも、簡単な索引くらいはつけていてほしかった、というのが本音である。

英文解釈教室 改訂版

英文解釈教室 改訂版

でも演習用参考書としては、満足

とまあいろいろと不満をぶちまけたが、中学数学の徹底的演習書として、1冊でここまでできるものはなかなかないと思う。私のように、とりあえず中学数学の問題をいっぱい解いて復習したい!基礎固めしたい!と思っていて、時間にある程度余裕のある学習者には、すばらしい問題集だと思うので、おすすめする。

語りかける中学数学 問題集

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