「自らが人殺しになる覚悟がないんです」古美門研介のことば

たまたまリーガル・ハイ2の動画を見て思いだしたので。


青木理氏は自身の著作『絞首刑 (講談社文庫)』のなかで、凶悪犯罪被害者家族の「死刑という判決がすべて」という発言を受けて次のように言っている。

死刑を求め続けた遺族にしても、その執行という究極の情景までは考えたくないのかも知れない。私にはそう思えて仕方なかった。
絞首刑 (講談社文庫)、p. 299)

私は青木理氏の『絞首刑』を読んでのエントリで、

遺族の心情が良い悪いとかそういうことではない。
しかし、多くの国民が賛成し、遺族が求める「死刑」、それはどこか抽象的で、実態のないもののように扱われてはいないか、と私は思った。
【読書】死刑の実態に迫る/青木理 『絞首刑』 Part 2 - 準備運動

そしてリーガル・ハイ2で堺雅人演じる古美門研介は

愚かな国民は自らが人殺しになる覚悟がないんです。自分たちは明るいところに居て、誰かが暗闇で社会から消し去ってくれるのを待つ。そうすればそれ以上死刑について考えなくて済み、この世界が健全だと思えるからだ。
(【リーガルハイ2】第9話の名言「冗談じゃない!!!」 - YouTube、1:40あたりから)


死刑は、行為だ。誰かが人を殺す行為だ。国家が国家の名の下に人を殺す行為だ。
その国家の主権者たる国民は、自らが人殺しになる覚悟があるのか。いや、普通はないだろう。私もない。

でも覚悟を持つか持たないか、それを判断するための情報と知識すら、私を含め多くの人は持っていないんだと思う。

持ってないのはお前くらいだバーカと、言われたいけど。


絞首刑 (講談社文庫)

絞首刑 (講談社文庫)

リーガルハイ 2ndシーズン 完全版 Blu-ray BOX

リーガルハイ 2ndシーズン 完全版 Blu-ray BOX