アニメ制作の現場、お見せします!/『アニメを仕事に!』

小学生のころを除き、いままでほとんどアニメーションを見たことがなかった。しかし先日Chromecastを手に入れてから、立て続けにアニメを何本か観ている。


Chromecast生活はじめました - やすらか生活への準備運動


私が子どもの頃観ていたアニメといえば、ドラえもん、クレヨンしんちゃん、名探偵コナン、スラムダンク、赤ずきんチャチャ、セーラームーン*1・・・であって、そのイメージで最近のアニメを観ると、映像に関しては本当にキレイだなあと思う。

そうすると、そもそもアニメってどうやって作っているんだろう?という疑問がわいてきた。いろいろと調べていて、見つけたので即買い、即読みしたのが、本書だ。

アニメを仕事に! トリガー流アニメ制作進行読本 (星海社新書)

アニメを仕事に! トリガー流アニメ制作進行読本 (星海社新書)


本書はアニメーション制作会社TRIGGER*2の取締役・プロデューサーの舛本和也氏が、数あるアニメ関連の仕事・役職のなかから「制作進行」*3という役職を選び、その立場からアニメーション制作の一部始終を見ていこう!というコンセプトで書かれたものだ。


「絵コンテUP」、「レイアウト作業」、「撮影作業」、「ダビング」・・・といったアニメ制作の18工程を設定し、「制作進行」が各工程ですべきことを追いながら、アニメ制作の流れも追っていく。各工程の見出しにはQRコードがついていて、各工程の実例を映像でも見ることができる。


『リトルウィッチアカデミア』制作工程紹介【シナリオ〜撮影】 - YouTube




読んだ感想は、「アニメ作るのって大変・・・」。
30分のTVアニメーションで使われる物量が紹介されていて

  • 絵コンテ*4:80~100ページ
  • 原画*5:300カット
  • 動画*6:4000~6000枚
  • 背景:300カット

これほどの量になるそうだ。もちろんこれだけじゃなくてもっとたくさんの物量があるのだろう。
そしてこれを200~300人のスタッフで作り上げていく。物量も膨大だけど、それを数百人の人数で分担して、納期までに仕上げるとなると、スタッフ間の意思統一やスケジュール管理など、ちょっと気の遠くなる大変な作業がそこにあることが分かる・・・。


このようにアニメ制作の流れとその大変さ(大変さのほんの一部だろうけど)がわかる本書だが、私の「アニメってどうやって作られてるの?」という疑問に応えてくれているかというとちょっと物足りないところもある。

というのも私、絵コンテとか動画、撮影といわれてもなんのこっちゃ?!というほどアニメについて知らなかったので、制作物だけじゃなくて、スタッフが実際どうやって絵を描いているのか、とかどうやって「撮影」しているのか、アニメにおける「カメラワーク」ってなによ?・・・とかの説明がほしかったところ。
まあ、そのへんは本書の扱う範囲外だ、といわれればそれまでなので仕方ない。

※この辺はGoogle先生に聞いて、別ページで知識の補完をした。

アニメはこうやって創られている | FOCUS | dof

アニメができるまで|エンタメのつくりかた|学校法人 東放学園



ちょっと個人的な不満はあるけれど、それでも本書からは著者・舛本氏のアニメーションへの愛がガンガン伝わってくる!
本書の帯には「キツイ!しんどい!でもムチャクチャおもしろい!!!」と書かれている。本書に書かれていることはアニメーション作成のしんどさ、楽しさのほんの一部でしょう、それでもその一部をじっくり感じられる。


アニメがすでに好きな人にも、私のようにアニメに興味を持ち始めた人にも、そしてアニメなんて興味ない世という人にも、オススメできる一冊ですよ!


アニメを仕事に! トリガー流アニメ制作進行読本 (星海社新書)

アニメを仕事に! トリガー流アニメ制作進行読本 (星海社新書)

*1:妹と一緒に見てたなぁ

*2:『キルラキル』や『リトルウィッチアカデミア』等で有名らしい。私もタイトルだけは聞いたことあった

*3:舛本氏によれば「制作進行」とは「スケジュールを管理して、お金やスタッフを調整し、作品を作るサポートをする役職」であり、アニメ制作の全工程に係わる役職なんだとか。

*4:「シナリオをもとにアニメーションでどういうカット割りやカメラアングル、演技をさせるかを描いたもの

*5:動きの要所を描いた絵

*6:原画間の一連の動きを滑らかにつなぐ中間絵