【読書】『ドアの向こうのカルト ---9歳から35歳まで過ごしたエホバの証人の記録』
荻上チキ・Session-22に著者の佐藤典雅さんが出ていたのを聞いて、早速読んでみた。
ドアの向こうのカルト ---9歳から35歳まで過ごしたエホバの証人の記録
- 作者: 佐藤典雅
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2013/01/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「9歳から35歳まで過ごしたエホバの証人の記録」
まさに副題通りの内容だ。
エホバの証人が家にやってきて、母親が証人となる。その二世となった佐藤氏はさまざまな疑問を抱えながらも信者としての自覚を持っていく。証人からしてみれば「エリート」として活動をする中で芽生えてくる疑問をかかえ、ある日洗脳が解かれる。そして家族を「解除」していく・・・
「ものみの塔」との出会いから決別までを記した本書は、佐藤氏のあふれんばかりの感情が伝わってくるような、ダイナミックな文章で書かれている。読んでいて、まさに激動だったんだろうなぁ、と思う。
理論武装
「ものみの塔」は知っていたし勧誘も受けたことがある。ただ、どのような教団なのかはほとんど知らなかった。せいぜい「輸血拒否するひとたちでしょー」位の認識だ。
私の認識(偏見)では、宗教を信じる人たちは聖典や神話など、「曖昧なものをわけわからんけどとりあえず信じる!信じちゃう!のひとたち」だと思っていた。だが、本書を読む限りエホバの証人たちは理論的であることを重要視しているようだ*1。あらゆることの根拠を聖書にもとめ、そこから論理的に(とおもわれるように)さまざまな物事を説明していく、説明しようとする。
それゆえ佐藤氏はものみの塔から抜け出す際に「理論武装をしないと喰われる」と感じ、自らもエホバの証人たちの矛盾を徹底的に洗い出し、自らの、そして家族の洗脳を解いていく。
エホバの証人として、エホバを信じるための理論武装、そして証人としての自分を捨てるための理論武装、この2つの理論武装の変遷が本書のおもしろいポイントだと感じた。
*1:聖句に忠実であろうとする証人たちであればこそ、なのかもしれないが