【読書】木村草太(2012)『キヨミズ准教授の法学入門』

あるきっかけでであった、変人の法学部教員と高校生が、身の回りのできごとについて法律的な観点から考える、という設定で、対話形式でありテンポよく進んでいくやりとりを読みながら、法律の基礎を体験できる良書。

キヨミズ准教授の法学入門 (星海社新書)

キヨミズ准教授の法学入門 (星海社新書)

本書の性格上なのかどうかしらないが、目次と言える目次がなく、また各章名もその章の内容をあらわしているというわけではない。そこで本書の内容を箇条書きにすると以下のようなものになる。

  • 法的思考
    • 法的三段論法
    • 法源
  • 社会科学とは何か
    • 日本法の体系
    • 私法・公法
    • 実定法・基礎法
  • 法解釈とは何か
  • 法学部では何を学ぶか、法解釈とは何か
  • 法と法学の歴史
  • 参考文献

私は法学の入門書についてはまったくわからないが、昨日本屋で立ち読みした限りでは、本書の内容はほかの固い入門書とそれほどかわらないと感じた。


これだけの内容が薄く読みやすい新書にぎゅっと凝縮されている。また参考文献も充実していて、法学のこと何にも知らない初心者に最適な一冊だ。



余談だが、最後の最後に本書中の登場人物である岩渕さんの希望で変人法学部教員キヨミズ先生とワタベ先生*1が法学以外の「とにかくおもしろい本」を紹介している部分がある。ここでは著者の趣味がでていておもしろい。法学とほんとに関係ないんだが、出版社はよくこのページ割かせてくれたな笑

もう一つ余談だが、本書では石黒正数氏という漫画家がイラストを描いている。キヨミズ先生・ワタベ先生などは雰囲気出ているんだが、主人公のクラスメイトである女子高校生、岩渕さんと村山さんの絵が、私の好みじゃないことが残念だ。

*1:ワタベ先生は変人じゃないかも