【読んだ】防災対策に、インフル対策も!/『新型インフルエンザ 「かかる前に」「かかってから」』

またも、インフル本を読んだ。


【読んだ】「適切な危機感」を持つために/『新型インフルエンザ 世界が震える日』 - やすらか生活への)準備運動【読んだ】「適切な危機感」を持つために/『新型インフルエンザ 世界が震える日』 - やすらか生活への)準備運動

いつどこで起きてもおかしくないとされる新型インフルエンザ、とくにH5N1型鳥インフルエンザのヒトへの適合と流行について、本書は基本的な知識を紹介し、対策そして「...


ここ数年毎年かかっていたインフルエンザ、私は今年発症することはなかったので一安心。けれども季節性インフルエンザはいつかかってもおかしくないし、来るべき新型インフルエンザの流行に対して、知識くらいは持っておこうということで、読んだ。


本書はインフルエンザの基礎知識の解説から始まる。季節性インフルと新型インフルの違い、新型インフルの発生の仕方、インフルはどう流行してどう感染するのか・・・。ここらへんは【読んだ】「適切な危機感」を持つために/『新型インフルエンザ 世界が震える日』 - やすらか生活への)準備運動と同じだ。

しかしこの本はそれと大きく異なる点がある。それは本書の2009年10月という発行日ゆえ、その年に世界的大流行を起こした新型インフルエンザについての記述が多くを占める、という点だ。

2009年新型インフルエンザの世界的流行 - Wikipedia

2009年の新型インフルエンザは本書中で「新型インフルエンザ09」と呼ばれる。第二章・第三章では来るべき第二波、すなわち流行発生当初「弱毒性」であった新型インフルエンザが毒性を増して再流行することへの対策について記述されている。

よって本書の内容は「弱毒性の新型インフルエンザ09およびこのウイルスの強毒化の可能性」を念頭に書かれているものだ。しかしもちろん、今懸念されている強毒性鳥インフルエンザのヒト感染およびパンデミックに備えるためにも重要な記述がたくさんある。
まわりにインフル患者があふれたとき、どういった点に気をつければいいのか。もし罹ってしまったとき、どうすれば感染拡大を最小限に出来るか。「咳エチケット」やドアノブの消毒など、基本的と言えば基本的な対策がしっかりと書かれていて、あらためて心にとめておこうと思う。


職場対策も必要!

本書の第六章では「職場対策を発動すべし!」として、企業の新型インフルエンザ対策の必要性を説いている。私としては、この章が一番印象に残った、というか「あーこれは対策しなきゃダメだよなあ」と強く感じるにいたった。

新型インフルエンザの流行が発生し、3人に1人が感染するような事態になったとする。そうすると最悪の場合は企業活動が留まってしまうことも考えられる。そのときに、なんの対策も取っていなかった企業は、非常に厳しい状況に置かれることになるだろう。


ではどうするか。
筆者は新型インフルエンザの流行が発生した際に、その対応について従業員に正しく伝える連絡体制の構築や、事業継続計画(BCP)の策定を推奨する。

欠勤規程はどうするのか、職場で感染者が発生した場合どうするのか、社員の多くが感染して出勤不可能になったとき、事業をどう継続させ、もしくはどの事業を停止すべきなのか。

こうしたことを(本書では新型インフル09の第二波を見据えて)今すぐに考えていかなければならないと著者はいう。

新型インフル対策は「防災」なのかも

このように新型インフル流行時、企業や職場がどう対応するか、ということを真剣に考えるステージに我々はある。
そうしなければ新型インフルエンザの流行という出来事によって、企業は(そして社会は)機能不全に陥ってしまう。

そう考えると、新型インフルエンザ対策というのは企業にとって「防災対策」の一環なのだと思った。
2011年3月11日の東日本大震災以来、多くの企業や組織で防災対策の見直し、徹底が行われてきた。しかし新型インフルエンザの流行を企業活動に多大な影響を与える「災害」ととらえ、対策をとっている企業はまだまだ少ないのではないか。

本書を読めば、新型インフルエンザの流行が地震などと同様企業にとってリスクになるもので、地震と同様に対策を取っていかなければならないことがわかる。

私の職場も防災関連部署を新たに立ち上げ震災対策を充実させていくらしいが、その担当者および政策立案者のお偉い様がたに本書を読んでいただきたいと思った。

新型インフルエンザ「かかる前に」「かかってから」 (講談社プラスアルファ新書)

新型インフルエンザ「かかる前に」「かかってから」 (講談社プラスアルファ新書)

新型インフルエンザ―世界がふるえる日 (岩波新書)

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