読書

【読んだ:2015-5】最後の寄稿文に心震える/『本屋会議』

町の本屋さんは危機的状況にあります。出版不況といわれるなか本が売れず、閉店する本屋さんが跡を絶ちません。 それでも本屋さんを何とか残そう、何とか発展させていこうとする人たちも大勢います。なぜそんなに必死になるのでしょうか、そもそも町の本屋さ…

本好きにとって、いまはラッキーな時代か

出版不況などといわれ、本が売れないといわれる。それでも本好きにとって今は、ラッキーな、楽しい時代なのかも知れない、と思いました。【読んだ:2015-4】本は拡張し、みな本屋になりうる - やすらかLIBRARYでとりあげた『本の逆襲 アイデアインク』で紹介…

【読んだ:2015-4】本は拡張し、みな本屋になりうる

本書の著者であるブックコーディネーター*1の内沼晋太郎さんはこう言い切ります。 「出版業界の未来」ははっきり言って暗いけれども、生き残る方法はたくさんあるし、「本の未来」に至ってはむしろ明るく、可能性の海が広がっているとぼくは考えています。 …

【読んだ:2015-3】読めば図書館に行きたくなる!/『夜明けの図書館』

図書館司書とレファレンス・サービスがテーマのマンガ、『夜明けの図書館』。 このほんわかマンガが、最近の私のお気に入りです。夜明けの図書館 (ジュールコミックス)作者: 埜納タオ出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2012/09/07メディア: Kindle版この商品を…

【読んだ:2015-2】イメージが大事なんです/『図書館で調べる』

本書のプロローグではこんな問いかけがなされます。 はたして、今の時代に図書館は必要なのでしょうか (p. 5) この疑問に対してそれほど熱烈に「必要だ!!」と主張するよりも、レファレンスサービスの技法を利用した調べ方を紹介することで、「図書館使う…

紙まなべ!児童書からも学べ!

知らない分野の学びはじめに、児童書って使えるなあとあらためて思ったという話をします。 先日『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』を読んで、いかに自分が紙について知らないかを痛感しました。本好きなどと言っていながら、その本を構成する最重要物質…

【読んだ:2015-1】紙の向こうにいる人に、であう/『紙つなげ』

この本を読んで、また知らない人に出会うことができました。 紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている作者: 佐々涼子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2014/06/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (33件) を見る

99.9%と0.1%を探して、神保町に行く

もうだいぶ前になりますが下記のブログエントリを読みました。「好き」「嫌い」をこえた芸術鑑賞法があるとしたら - (チェコ好き)の日記このエントリはチェコ好きさん(id:aniram-czech)*1が、「好き」「嫌い」を超えた「審美眼を大切にする」という芸術鑑…

2014年振り返り:私はなにを読み、なにを気に入ったのか

2014年はあとちょっとで終わってしまいます。そこで今回は、本ブログの「読書」カテゴリにあるエントリを掘り起こし、私は今年どんなことが気になって、どんなことにはまったのかをちょっと振り返ってみたいと思います。ブログタイトルが『やすらかLIBRARY』…

アニメ制作の現場、お見せします!/『アニメを仕事に!』

小学生のころを除き、いままでほとんどアニメーションを見たことがなかった。しかし先日Chromecastを手に入れてから、立て続けにアニメを何本か観ている。Chromecast生活はじめました - やすらか生活への準備運動 Chromecast生活はじめました - やすらか生活…

【読んだ】この哀しみがわかるか/『喪の途上にて 大事故遺族の悲哀の研究』

圧倒的であり、ページをめくる指が止まらない、と思いつつもそこに書かれているあまりに重く哀しい事実にページをめくる指が何度も止まる。人の苦しみを描いていること、詩的であること、重苦しくもしかし読むのをやめられないこと、どこか『苦海浄土 (池澤…

MediaMarkerのiPhoneアプリがサービス終了!

メディアマーカー - お知らせ / iPhoneアプリを終了します。 メディアマーカー - お知らせ / iPhoneアプリを終了します。 今日知ったよ。 IOS8に非対応であるため、サービス終了とのこと。どうりでアプリが使えなかったわけだ。 アプリサービス終了ならまだ…

【読んだ】斎藤節で冠婚葬祭を考えよう/『冠婚葬祭のひみつ』

多くの人が何らかの形で体験するのだけれど、いざ直面するとおろおろしがちなもの。「常識」や「しきたり」があふれるけど、それらはなぜ常識で、いったいいつからのしきたりなのかはよくわからない・・・。そんな冠婚葬祭を、斎藤美奈子節で考え直してみま…

【読んだ】謎解き英語教育史/『「なんで英語やるの?」の戦後史』

本書はひとつの「クイズ」から始まる。Q. 義務教育の中学校で外国語が必修教科になったのはいつからでしょうか?(A)戦後 (B)1945~1952(本土占領期) (C)1952~1970年代前半(高度経済瀬長期) (D)1970年代後半以降答えは、D。それも1998年の学習指…

今月は、これ!/100分de名著『枕草子』

剛力彩芽 CM ヤマザキ ランチパック 「アーティストデビュー」篇 - YouTube 以前、たまたま観たNHK Eテレの100分de名著『旧約聖書』がめちゃくちゃおもしろかった。今月は『枕草子』ということで、また興味をそそられたので観ることにする。本当は10月1日(…

【読んだ】大風呂敷を広げた、さあ考えよう/『大学とは何か』

「大学の歴史」的な本を読んで、もうちょっと大学について歴史的な視座から考えてみたいなあと思って本書を手に取った。【読んだ】すぐれた大学誕生ドキュメント/『大学の誕生(上)』・『大学の誕生(下)』 - やすらか生活への準備運動 【読んだ】すぐれ…

電子書籍と紙の本問題、再燃。そして未来の電子辞書、妄想

先日Amazonが新型Kindleを発表した。タブレット端末としてのKindle fireの新型もあるが、今回の発表で驚いたのは電子書籍リーダーのKindleが3種類発表されたことだ*1。3種類とは廉価版のKindle、従来からあるお馴染みKindle paperwhite、そしてハイエンドタ…

【読んだ】すぐれた大学誕生ドキュメント/『大学の誕生(上)』・『大学の誕生(下)』

これはおもしろい(very interesting)! 新書なのに400ページ、しかも上下巻の本書を、一気に読んでしまった。 エンタメ本ではなく、学術書の空気をまとっている本なので、途中細かすぎる記述もある。しかしそんなところはサクッと読み飛ばせばいい。読み飛…

<子どもの自主性>とはどこまで真実なのか/『運動部活動の戦後と現在』

日本のように、学校の課外活動としてこんなにも運動部活動が盛んであることを知ると、海外の研究者は驚くらしい。 我々は学校に「部活」があるのは当たり前のことと受けとめがちであるが、よく考えてみれば、そんなに当たり前のこととも言えないことが分かる…

【読んだ】タイトル気にせず読むといいよ!/『テレビが伝えない憲法の話』

タイトルがちょっと「アレ」なので手に取るのをためらっていたのだけれど、読んだら名著だった。もっと早く手に取るべきだった。テレビが伝えない憲法の話 (PHP新書)作者: 木村草太出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2014/04/16メディア: 新書この商品を含…

【読んだ】天地創造?!/『発酵』

春先以降甘酒が飲みたい飲みたいと思ってばかりいたら、こんな本を発見。すぐに書棚から取り出してレジに直行した。発酵―ミクロの巨人たちの神秘 (中公新書)作者: 小泉武夫出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1989/09メディア: 新書購入: 4人 クリック: 37…

【読んだ】知的創造のための手続/『創造の方法学』

苅谷剛彦の知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ (講談社+α文庫)において、「社会科学の方法を完結に著した著作として、もっとも読みやすいもののひとつ」と紹介されているのが、本書、『創造の方法学』だ。 第一刷は1979年、「データカード」「…

【読んだ】自分のキモチ、伝えたい・・・/『語感トレーニング』・『日本語の「語感」練習帖』

さて問題です。「快調」・「好調」・「順調」、最も調子がいいのはどれでしょう。 意味はだいたい一緒、でも明らかに違う。耳あたりというか、語の肌触りというか・・・そういった、微妙な(時には明確な)違いを意識することで我々は、自らの思いを寄り適切…

【読んだ】びびらないためのテクニックを拝借/『督促OL 修行日記』

なんとか新卒入社した会社で配属されたのは「コールセンター」。それも、人気最低ナンバーワンのクレジットカードキャッシングの督促コールセンターだった。「一時間で最低60本は電話して!」といきなり電話の前に座らされ、電話をかければお客さんに怒鳴ら…

【読んだ】普通の読書術本/『コンサルタントの読書術』

ザックリ言おう。本書は極めてふつうの「読書術本」だ。「限られた時間の中で以下に効率よく本から情報を取り出して、そして行動につなげていけるか」という目的を達成するための、読書術本だ。それ以上でもそれ以下でもない。コンサルタントの読書術 確実に…

【読んだ・観た】奇跡の転回!!!/『100分de名著 旧約聖書』

NHK・Eテレの『100分de名著』という番組をご存じだろうか。100分 de 名著 一度は読みたいと思いながらも、手に取ることをためらってしまったり、途中で挫折してしまった古今東西の“名著”。 この番組では難解な1冊の名著を、25分×4回、つまり100分で読み解い…

文を書くとは、動くこと/『文章の書き方』・『文章のみがき方』

辰濃和夫著の2冊、一気においしくいただきました。文章の書き方 (岩波新書)文章のみがき方 (岩波新書) 机に向かってモノを書くときのテクニック・姿勢だけではなく、日常において「書き手」としてどう振る舞うべきかを教えてくれる本だ。

【読んだ】わたし、新書が好きっ!/『新書がベスト』

私は、「新書」が好きだ。 新刊書、ではない。新書版(B40?)と呼ばれるサイズの本のことだ。岩波や中公、講談社が出してる、あの長方形の本だ。新書 - Wikipedia B40 - Wikipedia 学生時代、「どんな本読むの?」と聞かれて、「いろいろ読むけど新書をちょ…

【読んだ】「解釈変更派」を知るために/『日本人のための「集団的自衛権」入門』

現・自民党幹事長、石破茂氏の『日本人のための「集団的自衛権」入門』を読んだ。日本人のための「集団的自衛権」入門 (新潮新書 558)作者: 石破茂出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/02/15メディア: 新書この商品を含むブログ (2件) を見る どちらかとい…

【読んだ】描ききれない感が醸し出す怖さ/『日本の公安警察』

青木さんのちょっと前の本を読む。日本の公安警察 (講談社現代新書)作者: 青木理出版社/メーカー: 講談社発売日: 2000/01/20メディア: 新書購入: 5人 クリック: 78回この商品を含むブログ (40件) を見る 青木理さんの『絞首刑』や『トラオ』などが非常におも…