万年筆初心者がペンステーションに行って、ペン先交換してきた
以下のエントリの続き。
ほしくてたまらなくなり、ついに買ってしまった、PILOT カスタムヘリテイジ91のSM(Soft Medium:中軟字)。
さっそく色彩雫の「月夜」をコンバータに入れ使い始めて数日。書き味はいいし、ちょっといい筆記具を持てて、なんとなく高級な気分に浸っていた*1。
ただ、次第に気になる点がでてきた。
インクフローがよすぎる。インクがですぎる。
(写真うまくとれない。ロケット定時退社と字が汚いのは突っ込まないで下さい)
ぬらぬらさらさら書けるのはいいのだけれども、どうもべちょべちょインクが出てくる。筆記跡にやたらとインクの溜まりができる。
うーん・・・これはペン先の問題か…?細字にしておけば良かったのか・・・と迷いはじめた。
購入後の数日間、ヘリテイジ91を使ってはインクフローが気になり、気になりつつもそのうち慣れるかと使い続けてみたが、それでもやっぱり気になる。
ペンステーションに行くことにした
せっかく買った万年筆、いろいろ気にして楽しく使えないのはストレスだ。そこで、パイロット・ペンステーションに持ち込み相談することにした*2。
PEN STATION Museum & Café ペン・ステーション ミュージアム&カフェ | サービス | PILOT
ペンステーションは東京・京橋のパイロット本社に入っている筆記具ミュージアムであり、ペンや万年筆の調整・修理をしてくれるコーナーがある。ちなみに1階はカフェになっている。
京橋に降り立ち、高そうな服を着たオジサマ、オバサマのあいだをすり抜け、ペンステーションへ。
2階に上がり修理カウンターの人(たぶんペンドクター)に声をかける。
こたろう(以下、こ)「万年筆を見てほしいのですが」
ペンドクター(以下、ペ)「どのようなことをご希望でしょうか」
こ(万年筆を取り出し見せつつ)「万年筆は初心者で・・・買ったばかりのヘリテイジ91なんですが、インクの出がよすぎ・・・」
ぺ「あぁーこんな柔らかいやつ買っちゃったんですねー柔らかいペン先はかなり扱いが難しいんですよー」
こ「へ?!」
ペ「ちょっと書いてみて下さい」
といわれたので早速書いてみる。ちなみに私は左利きだ。
ペ「左利きなんですね。左利きで柔らかいペン先を使うと、書き方によってはペン先がかなり開いた状態になってしまい、インクが出過ぎちゃうことがあるんですね。」
とのこと。万年筆は基本的に「引く」動作によって筆記し*3、さらに(特に柔らかいペン先のモノは)その「引き」の強さによってペン先の開き具合を変え、線の太さを変えることが出来る。しかし左利きの人が柔らかいペン先を使うと、線はペン先を「押しつける」ように筆記する必要があり*4、かつその状態が持続しやすい。それゆえペン先が余計に開いてしまうことがあるそうだ。そして、私の場合もこれにあてはまったようだ。
ペン先を交換することに!
数秒でインク出過ぎの原因が特定され、かつ「柔らかすぎるペン先はかなり扱いづらい。特に初心者には。」という指摘までいただいてしまった。ペンドクターから「ある程度調整することは出来るが、それではSMの良さを消してしまうことになって、SMをもつ意味がない。購入後一週間経ってないので、ペン先を交換することも出来ます」といっていただいた。
FMやM、WA(ウェーバリー:ペン先が上向きになった中字。筆記角度を問わず、滑らかに書ける)などいろいろと試し書きをさせてもらい、結果一番しっくりきたFM(中細字)のペン先と交換してもらうことにした(WAの書き味も素晴らしかったけど、ヘリテイジ91には残念ながらWAがなかった)。
購入後一週間以内なら交換無料だってさ!*5すごいね!!来て良かった!!!
20分ほど万年筆を預け、ペン先がFMになったヘリテイジ91が返ってきた。試し書きをし、少しインクフローをよくしてもらって完了。
調整してもらっているあいだもペンドクターは、
- やわらかいペン先は扱いづらいこと
- 細字でも使い込んでいくうちにだんだんと太く(というよりしっかりとした線に)なっていく
- とにかく使い込んでみることが大事
- 左利きで細字より太いペン先がほしいならウェーバリー(WA)がオススメ
などいろいろな話をしてくれた。
あまり勉強もせずSMを買っちゃった万年筆初心者に対して、イヤな顔せず、丁寧に手ほどきしてくれたペンドクター。とてもありがたかった。そして調整してもらったFMのヘリテイジ91、めっちゃ書きやすいです!
SMのときより「紙に書いている」というカリカリした感覚が強く出るけれども、かといって紙にペン先が引っかかる感じはさほどない。むしろこれだけの細字でこんなに滑らかに書けるんだ!という感動が大きい*6。そしてインクのでもちょうどいい。
ありがとうペンドクター
いってよかったペンステーション。
そして改めてよろしく、ヘリテイジ91(FM)。
あと、次万年筆買うときは、メーカーやペン先の太さを限定しすぎず、いろいろ試し書きしてから決めよう。
*1:今まで使っていたKAKUNOが悪いというわけではもちろんない。1000円であのクオリティ、結構満足させていただいたし、これからも使うよ
*2:私はたまたま休みがとれたので平日に行った。土曜日もペンステーションは開いているけど、ペンドクターがいないと言われた
*3:というか文字は基本的に右利きが線を「引く」前提で設計されている
*4:左利きでも書き方によって差はかなりあるようだが
*5:購入した店舗などで交換を申し入れると「インクを入れてしまっているので・・・」と断られることがあるらしい。が、購入後一週間以内ならどこでも交換が出来る決まりになっているらしい
*6:ノートにばーっと書くには細字がいいと感じた。と同時に、ゆったりとより太い線を書くために、ペン先10号・WAがほしくなった